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「学生生活をどう過ごすかは自分次第。将来の糧になるような時間にしてほしい」

 横手市を中心に土木工事、建築工事、とび・土工工事、舗装工事、水道施設工事などの建設工事を行う「株式会社マルサ建設」。ここで事務だけでなく、現場作業もこなし、オールマイティーに活躍する女性社員の髙橋奈美子さんにお話を伺いました。







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Q

髙橋さんの就職活動について教えてください。

A

 保育士や幼稚園教諭の免許取得を目指し、宮城学院女子大学へ進学しました。私が周りの学生と少し違っていたのは、入学当初から就職を意識していたことでしょうか。発達臨床学科に在籍しながらも、自分は将来どんな仕事に就きたいのかを常に模索していた気がします。興味のあることは何でも挑戦しましたし、4年間で幼稚園教諭1種や保育士免許、中国語検定など、さまざまな資格を取得しました。
 最終的には両親を安心させたい気持ちもあり、最も安定している公務員、中でも警察官に照準を絞って就職活動をすることにしました。
 公務員試験は県によって出題傾向が異なるので、受験する県の参考書に沿って必死に勉強し、2カ月間だけ大原学園の公務員コースにも通いました。他にも面接の練習や体力試験ためのトレーニングなどを重ね、晴れて栃木県警への採用が決まりました。

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Q

秋田に帰ろうと思ったきっかけは何ですか?

A

 栃木で警察官として勤務する中で、時々、地元出身の同僚をうらやましく思う瞬間があったんです。地域のために働きながらも、「ここが私の地元だったらな…」という考えが頭をよぎったりして。元々、「人の役に立つ仕事がしたい」と思っていましたが、加えて「地元に貢献できる仕事がしたい」という気持ちが強くなり、さらにこのまま故郷を離れて転勤を繰り返し、知らない土地で一生を過ごしていいのかと考え始めるようになりました。
 そんな時、「自営業である建設会社を手伝ってほしい」という親から相談がありました。自分の中で気持ちに変化が生じていたこともあり、秋田に帰ることを決めました。

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Q

現在の仕事内容を教えてください。

A

 普段は事務職として請求書の処理をはじめ、経営事項審査や入札参加資格申請、その他いろいろな申請に関わる書類作成や経理全般の仕事をしています。しかし、技術者の少ない小さな会社なので、現場から呼ばれたら手伝いに行くことも多いですね。測量や現場の書類作成のサポートをしたり、安全パトロールを行ったり。現場では届いた資材の確認やその都度指示された作業をこなします。また安全運転管理者ともなっているので、車両の管理も行っています。
 一昨年には初めて防雪柵の現場代理人を任されたのですが、それが女性で初めて秋田県優良工事として表彰されたんです。このことをきっかけに、女性技術者として担い手不足となっている建設業の魅力を伝えるため高校や建設部会の総会などで講演する機会もいただけるようになりました。警察時代に交通課で安全教室を担当し、人前で話すことは慣れていたので、その経験が今、役に立っているかもしれませんね。

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Q

仕事のやりがいを感じるときはどんなときですか?

A

 人にはそれぞれ役割があります。建設業でいえば、重機の操縦に優れている人、現場監督として指揮を執るのに長けている人などさまざまですが、その中で自分はどんなことで会社に貢献できるかを見極め、力を発揮しなければなりません。そうして仲間から信頼され、頼られるような仕事ができたときに私はやりがいを感じます。
 現在の仕事は前職と全く異なる職種だったため、一から学ばなければなりませんでしたが、求められる仕事に応えられるよう日々経験を重ね、一生懸命取り組んでいます。
 また、建設業はまだまだ男社会のイメージ。しかし、女性だからといって「重い物を持たない、汚れ仕事をしない」という意識は持たないようにしています。現場に足を運び、男性と同じように作業をし、必要だと思った資格は勉強して取得する。自分の可能性を広げる努力は常にすべきだと思っています。

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Q

職場におけるライフサポートについて教えてください。

A

 繁忙期を加味する必要は多少ありますが、産休・育休はきちんと取得できます。育児に関しての休日や早退も可能ですし、男性社員も含め子どもの行事参加への休みは積極的に取得できる環境だと思います。また、弊社の社員の多くは農家と会社員を兼業しているので、農繁期には休暇を取り、農作業に従事できる環境なども整えています。資格に関しては社員の課題でもあるので、試験費用や宿泊費・交通費などは会社で全面的にサポートしてくれます。

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Q

プライベートはどのように過ごしていますか?

A

 休日はほとんど子どもたちと過ごしています。2歳と4歳で遊び盛りなので、新型コロナでどこにも行けない分、近くの公園などに頻繁に連れて行って一緒に遊んだり、家族でバーベキューをしたりしています。
 秋田は自然が多いので、川で遊んだり虫捕りをしたりと、自然ならではの遊びを楽しむことができます。空気がおいしくて四季が美しい。子どもを持った今は、秋田の環境の素晴らしさを改めて感じています。

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Q

就職活動を行う学生の皆さんにメッセージ

A

 社会人になると毎日が目まぐるしくて、なかなか自分を見つめ直す時間はありません。だから、学生のうちにどんな仕事に就きたいか、どんな信念を持って社会と関わりたいかを考えることはとても重要です。そして、さまざまなことに取り組み、自分の可能性を広げてみてください。学生時代に培った時間が将来の糧になるということを忘れずに、ぜひ有意義な学生生活を過ごしてほしいです。
 また、私は少し遠回りをして現在の仕事に出会いました。最初から思い通りの道を歩めなくても大丈夫!経験することにムダなことは一つもありません。常に目の前の仕事に全力で打ち込んでいれば、きっとやりがいのある仕事にたどり着けると思います。




プロフィール

髙橋 奈美子(たかはし なみこ)

栃木県警察官として約6年間勤務した後、実家の自営業である株式会社マルサ建設に入社。1級土木施工管理技士。2級建設業経理士。令和元年、秋田県の建設工事で女性技術者として初めて優良表彰を受賞。

株式会社マルサ建設
〒019-0514
秋田県横手市十文字町睦合川前139-1