タクミ電撃リクルートマガジン 2025.6月号
「最近の若者は…」実は推し活!?
昨今、若者をZ世代などと呼び揶揄するような風潮がありますよね。
大人という人種は、何でも一括りにしたがる困った生き物です(笑) 私のような中高年や高齢者が「最近の若者は…」と口にすると、その後に続くのは決まって若者批判ということが多いのではないでしょうか。そして、最後には「昔は…」と武勇伝や自慢話で締めくくられるのです。最近では、アルファ世代という新しい世代が登場し、Z世代も先輩になったようですが、世代の呼び名を遡ると、ミレニアル世代、ゆとり世代、就職氷河期世代、バブル世代、新人類など様々な名前が付けられ、どれも否定的なイメージが見え隠れします。私が個人的に一番ひどい呼び方だと思うのは、「三無主義(無気力・無関心・無責任)」と揶揄された「しらけ世代」(1950~1965生まれ)です。これは、ただの悪口ですよね!!実は、こういった若者批判は今に始まったことではないようです。
この「最近の若者は…」という常套句は、古代エジプトや古代ギリシャ時代から受け継がれていると言います。哲学者プラトンも最近の若者は年長者を敬うこともしない若者に教え説いたという記録が残っていたり、アリストテレスは著書の中で若者を厳しく評したりしているんです。日本でも平安時代の枕草子や鎌倉時代の徒然草の中で当時の若者を憂い嘆く表現があるそうです。そして近現代においても、1970年代の週刊誌で「最近の若者はすぐに会社を辞める」と嘆かれたり、1980年代のビジネス誌で「上司が挨拶しても部下が返事をしない」と報じられたりと若者への違和感や世代の断絶が叫ばれていました。しかし、実際に若者の意識や価値観を調べてみると、10〜20代の若者と30〜40代が同じ年代だった頃とでは統計的にほとんど差がないという調査結果も出ており、むしろワークライフバランスや結婚観など多くの点で年齢による価値観の差は縮小しているそうです。
では、なぜ若者批判が未だに絶えないのでしょうか?それは、労働環境の変化に伴うコミュニケーション不足が大きく影響していると言われています。1つ目は、労働時間の短縮、2つ目はリモートワークとデジタルツールの普及、そして3つ目はコンプライアンス意識の向上です。これらがポジティブな変革であることは否定の余地はない一方、社内のコミュニケーションの土台を揺るがしているのも事実です。大人たちが思考を単純化し若者一人一人を見つめ語らうことを怠り、自分たちの時代や価値観を美徳化するために若者を一括りにして揶揄する、そんなでっち上げた若者像(デマ情報)に大人自身がとらわれ、「理解不能な存在」と決めつけコミュニケーションを放棄すれば、互いに齟齬や誤解が生まれ、さらに世代の断絶が深まるという悪循環に陥ってしまいます。
そこで注目したいのが、タテでもヨコでもないナナメの関係です。タクミでは若手の育成を担う「指導係長」というポストを新設するなど時代の変化に柔軟に対応した取り組みを進めています。また、タクミ管理職に若手社員の育成に関するアンケート調査を実施しました。「最近の若者は…」と感じることがあるかという質問では88%以上の管理職が「ある」と回答しています。また、そう感じるのはどんな場面か問うと「気が利かない」を筆頭に「同じことを何度も言わせる」と「挨拶や返事が満足にできない」が続きます。これは、紀元前から語り継がれてきた世界的な傾向と合致します。しかし、タクミ管理職は若手批判に甘んじていません!若手育成のため取り組んでいることを問うと、「業務時間内外で積極的に声をかける」や「役割や期待を伝える」、「公平に接する」、「若手の話に積極的に耳を傾ける」などが上位にランクイン!そして、指導力向上のためにコーチングやアンガーマネジメント研修を望む声が多数上がりました!そのような意識の高いガチ勢を対象に産業医協力のもと メンタルヘルスラインケア研修を先日開催しました。次回は、コーチングの研修を企画します!!
ちなみに、最近ではZ世代と一括りにしてみたものの、さらに4つに細分化しているらしいです!それにしても大人たちは、どうしても若者を分類したいようですね。ひょっとしたら、大人たちの若者批判は、若者に対する『推し活』なのかもしれません(笑)以上、『人の事にガチ勢』人事・経営管理本部からの社会分析でした!