1.「学生の強み」を生かした活用事例


株式会社
ブラウブリッツ秋田

 柔軟な発想や自由な視点、フットワークの軽さや行動力など、学生ならではの強みはたくさんあります。こうした強みがインターンシップで自然と生かされることを期待するのではなく、意識的にプログラムに組み入れることで、学生が企業の大きな戦力となり得ます。

 株式会社ブラウブリッツ秋田は、事業目標である地域の活性化にインターンシップを取り入れました。事前に学生が「やりたいこと」と「できること」をヒアリングしてから実施内容を決めていくプログラムで、学生の力を引き出しています。

 また、学生がインターンシップに求めるものの一つが、「地域との結び付きを感じられること」。就職を意識したインターンシップとは異なり、地域社会をより良くすることに参画したいという考えをもつ学生がとても多くなってきています。

 都会に比べて地域との結び付きが強い地方の企業だからこそ、ここでしかないインターンシップ体験を提供できます。そうした面においても、株式会社ブラウブリッツ秋田では、ファンやスポンサーとの交流の場にインターン生を同席させるなどで、学生と地域、双方との団結を深めることに成功しています。

2.「新親事業立ち上げ」での活用事例


ヤマモ味噌醤油醸造元
/ 高茂合名会社

 新しい事業を始めたいけれど、社員は既存の仕事で精一杯。でも、簡単に新たな人材を雇う余裕はない。そんな時にもインターンシップが有効です。新規事業の立ち上げに必要なマーケティングやリサーチ業務、営業などの分野で、学生の力を活用できます。

 ポイントとなるのは、時間をかけてトライ&エラーを繰り返すこと。経験も知識も不足している学生にじっくり向き合うことで、企業の本気が伝わり、学生のやる気が高まります。

 スピード感ある事業展開を進めるヤマモ味噌器油醸造元/高茂合名会社は、新たな事業につながるアイデアを学生の若い感性から生み出すことを目的に、インターンシップを実施。まずは自社についてきちんと伝え理解を深めること、その上で生み出された学生の意見にしっかり耳を傾けることで、生まれるアイデアの幅を広げ、新商品の開発などに取り入れています。

 このほか、多言語翻訳や海外販路拡大に国際教養大学の学生をインターン生として採用するなど、さまざまな面でインターンシップを活用しています。

3.「右腕」としての活用事例


有限会社ぬまくら
(TOP SCREEN / ICHINOSAI)

 人手不足のために、経営者が一人で商品開発から営業、販売といった役割を何役も行わなければならない場面も多くあるでしょう。そうした時には、インターン生に経営者と同じ目線をもった「右腕」として活躍してもらうことができます。

 大切なのは経営者との思いの共有です。経営者が考える仕事のプロセスを、順序を整えてしっかりと伝えましょう。経営者の視点を学ぶことでカを蓄えた学生は、経営者を支え、時には気付きを与えてくれる存在になってくれます。

 有限会社ぬまくらでは、同じ目的意識をもって働く人材を発掘するためにインターンシップを活用しています。企業としての考え方や仕事の進め方を、実践的な業務を通じて教えています。

 注目したいのが、学生とのコミュニケーションの育み方。学生の価値観を理解し、丁寧なフォローを行うことで、学生の意見を業務に結び付くアイデアに引き上げることができています。有効なアイデアを生み出すには基礎知識が必要です。そのため、知識不足の学生の声は企業にとってあくまでヒントでしかないこともあると捉え、組み立てや仕上げは企業がサポートすると良いでしょう。

4.「営業・販路拡大」での活用事例


有限会社たかえん

 商品をもっと売り出すために具体的にやりたいことがあるけれど、社内で時間をかけて取り組める人材がいない場合に、インターン生と一緒に実行する企業が増えています。学生はスキルも経験もないけれど、比較的自由な時間があります。企業がしっかりと考えたプロセスと実行する現場を与えることで、学生に時間を投資してもらい、プロジェクトを進めることができるというわけです。

 有限会社たかえんでは、中高生や大学生、特別支援学校からの学生を受け入れ、独自のプログラムや民間コーディネート団体のプログラムを実施するなど、多彩なインターンシップを行っています。

 現在取り組んでいるのが、横手市を「クッキングアップルの郷」とする地域プランド化のプロジェクト。自社だけではなく、取り巻く環境や地域全体が盛り上がることを目指し、生産農家と協働で取り組むこのプロジェクトに、インターン生を参加させています。

 学生だからこそ生産農家さんから聞き出せる話があったり、営業でアポイントが取れたりと、社会人にはできない関係性が構築できており、インターン生による効果が現れています。

5.「採用」における活用事例


株式会社北都銀行

 学生にとっても企業にとっても、インターンシップを行う際に多く意識されるのが「採用」ではないでしょうか。日本では新卒の採用活動の時期に制限がありますが、採用広報が解禁される前までに、学生は働くことや就職に向けての準備を始めています。そのため、インターンシップで学生に自社をより深く知ってもらうことは、この先の採用へとつながる可能性があります。

 中でも効果的なのは企業を相手に事業や商取引を行うBtoBの業種です。学生は消費者向けのBtoCの企業しかあまり知らないという傾向があるため、学生に多くの新たな気付きを提供できます。

 株式会社北都銀行では取引先に同行させるなど、普段学生が接することのできる窓口業務以外の体験をプログラムに取り入れています。また、先輩を交えた座談会で働く意義を伝える時間も設けるなど、学生の知らない一面を見せたり教えたりすることで、具体的な働くイメージを学生に与えています。

 働く姿が明確になってから採用活動が始まると、就職のミスマッチは生まれづらくなります。学生とのコミュニケーションを図りながら、さまざまな角度から自社について学生に伝えましょう。

その他のメリット

会社のPR

 インターンシップを行うことは、自社を知る学生が増えることはもちろん、地域における認知度も高まります。また、インターン生にSNS発信などを任せることで、普段とは異なる企業PRが行えます。

会社の見直し

 学生へ企業理念や会社概要を説明する機会が生まれるため、自社の組織や業務内容を見直すきっかけになります。

社内の活性化

 学生が企業に来ることで、社員の意識や職場の雰囲気が変わります。また、社員が学生と触れ合うことで、仕事の雰囲気が変わります。また、社員が学生と触れ合うことで、仕事のやりがいを再認識し、意欲向上につながります。

社員教育の体制づくり

 どのような体制・プログラムを用意するか。インターンシップの受入体制を整えることは、新入社員の教育体制づくりにもつながります。


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